ホリエモンを通して正社員になることのリスクを考えてみる 「労働力という名のアパート」


「絶対正社員にならない方がいいよ」― これからの時代の安定した働き方をホリエモンが語り尽くす | U-NOTE【ユーノート】

 

これ、タイトルとか論旨とか関係なく思うのは、場合によっては確かに掛け持ちした方が安定するかもしれないということ。それは正社員になるならないというのはイコールじゃないんだけどね。

 

というのも、やれ投資だなんだという時に、絶対に出てくる話は分散投資だ。分散投資 = リスクを減らすという考え方がある。

 

労働力を健康な人が持つ資産だと定義すれば、労働者は会社にその資産を貸すことによって賃料(=給料)を得ているわけだ。実際、生涯賃金というのは2億-3億とかだし、特殊な才能(プロスポーツ選手とか)はそれ以上の資産価値を持つことになる(もちろん、その逆もある)。生まれながらにして、ちょっとしたアパートを持っているようなものだ。

 

さてこの、労働力という名のアパートは新築として賃貸を開始できるまでに22年位はかかるけど、2000万円くらいでできるわけだから、投資としてはかなりおいしい。で、このアパートが賃貸開始を初めても最初はなかなか回収が難しい。2000万円回収するまでには、まあ4-5年はかかるわけだ(それでも、これで済むわけだけど)。

 

20代後半くらいでようやく収益がプラスになり始めた時に、収益力は更に増していく(日本の賃金構造は年齢ベースなところがほとんどだしね)。ただし、借主側(つまり会社)からすると賃料が上がり始めるという事実がある。つまり貸主にとってはリスクが上昇していくわけだ。ただ、収益力も増加していけば問題はない。収益力が鈍化したときに、賃料が高いというのが問題になってくる。

 

そうなると、借主は賃料が安くて同程度の物件であればそちらを借りた方がよくなる(全体として利益を出しやすくなる)から、ポートフォリオのリバランスを検討する。リバランスを実行するというのは、定年退職だったりしたわけだ。

 

規制緩和とかで正社員を簡単に流動化できるようにしたとする。これは、貸主としてはリスクの増加でしかない。そうすると、賃料を上げる、オプションをつけるとかをしないとリスクと価格のバランスが崩れてしまう。ボラティリティとのバランスがとれない。

 

労働力は分散して貸し出すことが出来る。その場合は借主に対して賃料やオプションについて定める機会が多くなるわけなので、その分リスクは小さくなる。収益も安定する。まあ、アパートの部屋数を多くして、色んな間取りを用意しておくとか、REITとかと同じだ。もちろん、それによってリスクが大きくなるケースもあるけどね。

 

そういう意味では、できるだけ分散して貸し出した方が良いのは間違いない。ホリエモンの話は、そうやって考えてみると当然のことだ。収益安定という点でね。

 

でも、正社員にならないことのリスクってのもあるよね。社会保障だとか、履歴書を見たときだとかに、色々頭の中で考えられたりだとかそういうとこ。収益は安定するかもしれないけど、そこにレバレッジをかけて収益を大きくすることができるか、難しくならないかということだ(大きさじゃなくて安定とるなら、それもまた良しなんだけど)。労働力を分散したら、管理できるか、どれだけ分散できるかという問題がでてくる。

 

その辺も含めて、資産としての労働力を投資した効果を検討して、正社員の方がいいかわるいかという話がでてこないと、それは単なる起業マンセー的な話なんじゃないかと思ってしまう。