Pythonプログラマが年収380万ぽっちのわけない


【プログラミング言語別!】求人給与額ランキング | HRog

 

なにやら、TwitterとかFBで話題になっているこのお話。

まあ、バズれば勝ちだと思っているっぽいので、のってあげましょう。

 

はっきりいうと、この記事を書いた人、掲載を許可した人はアホなんでしょう。データをまともに使えない、プログラマの質と価値を落とすというだけでなく、求人業界のビジネスモデル的に大丈夫かと思います。

 

まず、このデータは求人の給与の下限額で集計されています。「Pythonプログラマ募集、年棒350万〜2000万」とかだと、350万円でカウントするわけです。なので、実態よりかなり低く出ます。役所の統計値についても色々ありますが、まずは厚生労働省がやっている「賃金構造基本統計調査」があります。年収ラボで見やすく表示してくれています。436万円。既に一位のPythonプログラマより上ですね。どうやったって、この記事のデータから平均436万円を計算するのは無理です。ついでにシステムエンジニアの年収も調べると、598万円です。 個人的なブログならまだ良いですが、記事を書くなら、裏をとったりとかが必要でしょう。

 

こういったデータがあるにも関わらず、この記事を掲載すると、どこかで影響はでます。言語の違いもわからない人が「380万とかでいいんだー」とか言い出すわけです。さて、じゃあそれで人を雇えるかと言われれば、雇えません。上述したデータもあるので、まあ500万円くらいは出さないと、全プログラミング言語共通で平均的な人材すら雇うことはできません。あくまで平均的な人材をです。ただ、マクロ的な資金の供給(ここでは給与の支払)が絞られれば、その業界(ここではプログラマ)から離れるか、賃金の減少に耐えるかという選択になります。パイが小さくなるので当たり前ですが。違う業界に転職できる人(たとえば、「プログラマなんかやーめた。保険の計算しよ」とか言い出す人)は基本的には質の高い人です。そういう人達がいなくなると、当然プログラマの質は下がるし、実質的な価値もなくなっていきます。もちろん、若い人達も違う業界を選択します。ま、そうやって衰退していくわけです。

 

最後に求人のサービスというのは基本的には、紹介した人の年収がいくらかによって、手数料が決まります。年収が高い人を扱った方が自分たちにとっては良いわけです。そうなると出来るだけ、人材の給与は高くしといた方がいいわけです。なので、マーケティング戦略としても給与上限で平均とってみたほうがいいわけです(まあ明らかに嘘っぽくなってしまうので、中位値にするとかの方がいいんでしょうけど)。自分から業界を縮小させるような記事を書くのは、どうなんだというところです。

 

色々書き連ねましたが、実際こういった記事は誰の得でもないと考えます。事実twitterでも、「むしろちゃんとデータ扱えないんだなーという印象」みたいなツイートがありましたし。ちなみに、求人系のデータはXMLで出すところがあるので、こういった分析は結構しやすかったりもします(Indeedの場合はこれで送信できる)。